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日本のヒップホップはダサい?

HIPHOP=ダサい?

 

久しぶりの更新!

 

今回は、何故ヒップホップというものは一般ウケが悪いのか?というテーマで、書いていきたいと思います。いくつも要因はありますが、その中でなるべく短く説明できるものをいくつか挙げていきたいと思います。

 

①イメージが悪い

々、アメリカの貧困層で生まれたストリートミュージックであり、ヒップホップカルチャーの根底にそれらが今も強く影響しているために、一般的にもヒップホップ=ワル、ゲットー、成り上がり、etc...というようなイメージが定着してしまっている事が挙げられます。そして、さらに問題な事にこのイメージに憧れを持った不良少年少女が、ファンになったり、自身もデビューをするということが起こっています。

 

つまり、いつまで経っても固定観念に縛られており、悪いイメージが払拭されることなく脈々と受け継がれているということです。

 

そして、さらに厄介な事に当人たちはそれに全く気づいていないor気づいていないフリをしている ということが起こっています。

 

えば、ギャングスタラップ(アメリカのギャングやマフィアに所属しているようなラッパーが自身についてラップするって覚えてくれれば結構です)を日本でそのまま輸入してきても日本に合わないし猿真似をしているだけで全然カッコよくないという事に気づいていないんです。考えてみてください、アメリカは銃社会であり多民族が共存し貧困格差も激しく人種差別もあるんです、だからこそ、スラム街で生まれた者が成り上がるための方法はスポーツ選手やアーティストそしてギャングやマフィアくらいしか無いんです。そして、それこそがヒップホップの源流でもあるんです。

 

は、日本はどうでしょうか?銃も規制されているし麻薬や覚せい剤などもそこまで一般的に浸透しているわけではない。そんなところで、銃や麻薬の歌を歌ったって何も面白くないしこいつ何言ってるんだ?ってなりますよね。しかし、ヒップホップ=ワル固定観念のあるファンは、日本で銃や麻薬や覚せい剤などが歌詞中に出てきても「自分は経験したことないけど、こういう世界もあるんだなあ」と何の疑いもせずに受け入れてしまうんです。たしかに、日本でも銃も麻薬も入手することはできるし人種差別も貧困格差もあります、しかし、だからといってそれが一般的ではありません。つまり、そんな内容のラップをしたところで殆どのリスナーは共感も感動もしないのです。しかし、共感や感動をするマイノリティーのリスナーがいるために、そこを大切にしているために、今も固定観念に縛られたままで変わらないのです。

 

②メジャーvs.インディーズ

メジャーとインディーズの違いについては、特に説明をしなくても何となく皆さん知っていると思うので 割愛させていただきます。

 

メジャー=大企業

・市場規模が大きい

・アーティスト数は少ない

・メディア露出多い

・制限多い

インディーズ=中小企業

・市場規模が小さい

・アーティスト数は多い

・メディア露出少ない

・制限少ない

 

こんな感じですね。

殆どのラッパーはインディーズで活躍しています。でも、メジャーデビューというか有名になりたいという気持ちは常に持っている人が殆どです。逆に、絶対にメジャーデビューしたくないという人も少なくありません。なぜでしょうか?

 

メジャーデビュー肯定派

KREVAが武道館ライブを成功させた事例を見ても、メジャーならばファン数も稼ぐ金額も桁違いになります。つまり、成り上がることができるのです。誰だって金持ちになりたいし有名になりたい、日本でもZEEBRA宇多丸KREVAなどの成功者が現れ、実現可能な夢になりました。ヒップホップにおけるジャパニーズドリームというものが形になってきたということです。

メジャーデビュー否定派

これはヒップホップに限らずどのジャンルどのアーティストに共通する問題だと思います。より一般ウケするように当たり障りのない歌詞や売れるための路線変更も行う場合が多いです。昔からのファンはこれを嫌がりますよね。ヒップホップは特にこの傾向を嫌がります。なぜなら、ワル自慢をしていたのに恋愛について語られても鳥肌立ちますよね。ヒップホップという性質上、また先ほど①で申し上げたように固定観念に縛られているために、メジャーのために自分のスタイルを変えるということをファンは極度に嫌がります。なぜなら、固定観念という名の命綱だけで繋がっているからです。これは暴論かと思われるかもしれませんが、僕にとってはありのままを伝えただけです。

 

③ヒップホップ=短編小説

 

一曲における歌詞量から言えば、

J POP=コピーライト

HIPHOP=短編小説

日本語というのは、そもそもが単語一つ音一つだけでも他の言語よりも情報量が多い言語として知られていますよね。そして、ラップという歌唱法。言葉を早口で紡ぐ。同じ一小節でも他のジャンルと違って大量に情報を入れることができる。

 

つまり、才能や語彙量が無いラッパーは内容の薄っぺらくなってしまいます。上記の日本語とラップの特徴を踏まえれば仕方ないことなのです。

 

日本語でヒップホップをするということはハードルが高く難しい一面もありますが、それゆえにクラシックと言われるような名曲には、他の音楽ジャンルの名曲に負けず劣らずの価値があるといえます。

 

④リスナーの問題

 

僕自身の経験談です。

 

僕は小学生の頃に、森山直太朗の「さくら」や175Rの「空に唄えば」から入り、母親の影響でサザンやスピッツ荒井由実に傾倒していました。そして、MTVやスペースシャワーTVなどでフォークもカントリーも聞くような雑食でした。

 

しかし、ある日カウントダウンTVZEEBRAの「STREET DREAMS」のMVを見て人生がすべて変わりました。小学生の自分には、ダボダボの服にロングチェーンネックレスを付けて飛行場を肩で風切ってラップしているZEEBRAに心酔してしまいました。他のジャンルと違って、シンプルなドラムビートに力強いメッセージ性に完全に心を奪われてしまいました。

 

そこから、日本のヒップホップに深くのめり込むようになり、nobodyknows+KREVAにSOUL’dOUTなどのメジャーシーンで活躍しているようなアーティストからキングギドラRhymesterなどのさんぴん世代にOZROSAURUSなどの横浜ゆかりのラッパーも聞くようになりました。

 

そこで気づいたのが、ヒップホップというものの奥深さです。アメリカ本土でも西海岸中心と東海岸中心に栄えた歴史もあれば人種差別やギャングスタラップなどの様々な背景があり、日本で輸入されたものもそれらの影響をそれぞれ受けて発展していきました。

 

ヒップホップ好きと一括りでくくっても、中身を見れば様々なこだわりがあるので一概に皆同じというわけではありません。

 

例えば、おにぎり好きって言っている人も好きな具は人それぞれですよね。それと同じことです。ちなみに僕はたらこが最近好きです(笑)

 

しばらくヒップホップ=おにぎりで説明させてもらいましょう。

 

皆さんは”おにぎりを知らない人に「おにぎりについて教えてくれ」と言われたら”どう答えますか?僕ならとりあえず「ごはんを手で握って、のりを巻いた食べ物」とだけ説明して、おかかやシャケや梅などのメジャーな具のおにぎりを実際に食べてもらいます。そして、その人が気に入ったら違う具のおにぎりやアレンジしたおにぎりを食べてもらい、もっと魅力を伝えていきたいです。しかし、ここで問題なのは、おにぎりばかり食べているせいでおにぎり同士の比較は十二分に詳しく説明できますが、おにぎり以外のパンや麺類

と比較して魅力を伝えることが難しいということです。

 

ヒップホップのリスナーはアングラ勢つまりインディーズのコアなファンほど他ジャンルの音楽をあまり聞かない傾向にあります。僕自身も最近のアーティスト名と曲名は知っててもカラオケで歌うほどは知りません。つまり、ヒップホップ好きにさせるためにヒップホップジャンルの中でイチオシの曲はあるけれども、それはあくまでもヒップホップというジャンルの中でイチオシなだけであって、他の音楽ジャンルと比較してもその曲は聴きやすいかという配慮までされていない場合が多々有ります...。で、紹介された曲を聴いても早口だし英語ちょいちょい挟んでくるしよく分からないし...ってなってしまうパターンが多すぎます。それじゃダメじゃん

 

タラタラ書きましたが、ヒップホップが一般受けしない理由をざっくりと振り返りましょう。

 

固定観念に縛られすぎ

②メジャーとヒップホップは性質上合わない

③本当にスキル無いとダサいし淘汰される

④リスナーが一般向けに魅力を伝えきれていない

 

 久しぶりで文章めちゃくちゃだし、この4点はまとめないで1点ずつもっと細く書いたほうが良かったなー。暇つぶしで読んでくれてありがとうございました!

 

 

 

R.I.P DEV LARGE

2015.5.5 DEV LARGE 死去

本のヒップホップ誕生に大きく影響を与えた、いや今でも影響を与え続けている伝説中の伝説、BUDDHA BRANDのMCであるDEV LARGE(デブラージ)が亡くなられた。

 

のカリスマ性というものは本当にすごいものだ。まだ無名の日本のヒップホップというものをBUDDHA BRAND人間発電所という一曲ですべて塗り替えてしまった。その年のティーン向けの雑誌の音楽ランキングやモデル等のお気に入りの一曲にも何回も紹介されるほどの人気ぶりだった。

 

の曲のクレジットには、さんピン世代の代表格のラッパーやグループ、無名であったウェッサイのDS455(DJ PMXが当時のDJで唯一ドラムバスを打ち込むことができたので、この曲にも編曲者として参加していたため)などなど本当にこの時代をすべて凝縮している。

 

本のヒップホップ史上最初の大きなBEEF(ラップで相手を批判し合うこと、パフォーマンス的要素あり)である「K DUB SHINE vs.DEV LARGE」はネットを介して瞬く間に多くのリスナーを魅了した。この一連の流れはこれ以降の日本のヒップホップのBEEFにも影響を及ぼしていく。

 

RhymesterのMummy-Dは「リズムに乗ることができるならば韻を踏む必要はない」とラップについて言及しているが、それを体現しているのがDEV LARGEではないだろうか。BUDDHA BRANDの頃やD.Lとしてのソロの頃の作品もあまり韻を踏んでいないことが分かる。しかし、気持ち良いほどにトラックに合わせてラップをしているのである。賛否両論あるが、韻を踏まずにリズミカルにラップをすることのできるラッパーはなかなかいない。

 

忙しいのでざっとですが、以上

 

Rest In Peace DEV LARGE.

 

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さんピン世代とは?Ⅱ

『蜂と蝶/SOUL SCREAM

 

さんピン世代、90年代の最高峰を紹介していきたいと思います。

まずはこの曲。

 

セのないトラックにガチガチに踏んだ文学チックなリリック。

試行錯誤している中でも、このようにすでに現在のシーンでも高水準な曲というのは数多くありました。これらの曲が、このさんピン世代というものを伝説にしている理由の一つといえますね。

 

SOUL SCREAMのリリックというのは、語彙量と言い回しにより、文学的なリリックや哲学的なテーマに仕上がっています。小節間を埋めるために少しリリックに合わない単語が出てくることがありますが、それを差し引いても完成度の高いリリックです。

 

ラムバスが弱いのが、この時代の特徴ですので、メロディーが覚えやすい、聞き取りやすい曲が自然と”クラシック”と呼ばれるようになりました。(クラシックとは、最高の曲という意味です)。この時代以降はオートチューンや機械化が進み、よりテクノ調の曲が増えていきました。

 

蝶のように舞い、蜂のように刺す

youtu.be

さんピン世代とは?

『J-RAPは死んだ。俺が殺した』

 

本のヒップホップの歴史を語る上で、

「さんピンCAMP」という言葉は欠かせない。

 

1996.7.7「さんピンCAMP」@日比谷野外音楽堂

ECD主催による初の大規模の日本のヒップホップイベント

 

の時代の背景としては、スチャダラパー高木完などの活躍によるJ-RAPの台頭、日本の音楽シーンからの日本のヒップホップの締め出し、などなど様々な出来事がありました。スチャラダラパーの功績はたしかにすごいですが、さんピン世代の目指すべき日本のヒップホップとは方向性が違った、ということがさんピン世代の以前と違う点ではないでしょうか?

 

行錯誤の中で、”日本語で韻を踏む”ことや”日本でヒップホップできるのか?”という葛藤や不安の中でもがきながらラッパーもヘッズも関係なく、すべての人で作り上げていっているのが分かります。

 

しかに、この世代のスキルなどは今と比べると天と地の差がありますが、熱気は段違いにありますよね。これほどまでに全員で作り上げているステージは前代未聞なのではないでしょうか?多くのアーティストと多くのヘッズたちが作り上げたステージ、伝説となった理由はそこにあるのでは?

 

の曲は、この世代の代表格のBUDDHABRANDとSHAKKAZOMBIEがコラボした大神の「大怪我」というものです。ECDの最初のセリフは鳥肌ものですね。ここから全てがはじまりました。曲の中身については特に書きません、とりあえず、日本のヒップホップが産声を上げた瞬間、熱気を感じてください。

 

youtu.be

B-BOYのBを定義してみな!

B-BOYイズム/Rhymester

 

日、会社の面接でDJ経験のある面接官と日本のヒップホップについて熱く話してしまった僕です。

 

今回は、そこまで熱く話すことができるほどに熱中した世代、さんピン世代の中からこの一曲を紹介したいと思います。

 

イムスター、キングオブステージの名前に恥じない”生きる伝説”。宇多丸Mummy-DDJ JIN、の3人からなる2MC1DJのグループです。

 

の曲は、日本語ラップへのアンチテーゼ、地下活動していた日本のヒップホップの熱気、様々なそれぞれの思いが込められている曲だと感じます。全国のB-BOYの背中を後押ししたようなそんなリリックに共感した人も多かったのではないでしょうか。わかる人だけに分かればいい、自分たちのやっていることやっている音楽に誇りを持っている、全国のB-BOYのために捧げる、そんな思いが伝わってきます。

 

PVでは、今では大ベテランと言われているあの人やこの人が後ろの外野として映っています。例えるならば、マンガのワンピースでGロジャーが処刑された時に、当時ルーキーだったシャンクスやクロコダイルにドフラミンゴなどの様々な大物があの場所にいた、それと同じようなものだと考えてください。間違いなく、さんピン世代を代表する一曲です。

 

さんピン世代については、複数回に分かれて記事を書きたいと思います。

 

世代別に大きく分けると、

さんピン世代

日本のヒップホップ内のジャンル確立期

ネットラップ台頭世代

コンクリートグリーン世代

スキルのインフレ化世代

 

それぞれの世代についても、いつか書きたいとは思います。

 

B-BOYのBを定義してみな

「決して譲れないぜこの美学

 何者にも媚びず己を磨く」

 

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J-POP好きに捧げる聴きやすいラップ

アンチラップなJ-POP好きに送る回

はじまりの日 feat.Mummy-D/スガシカオ

Mummy-D、RhymesterのマイクロフォンNo.2。黎明期時代からシーンを支えている大ベテラン。ゴスペラーズの先輩。Mummy-Dの変幻自在なラップは、日本語ラップの可能性を広げ続けているパイオニア的な存在であり続けているのではないだろうか。般若やMACCHOは、日本語ラップシーンの中で変革をし続けている、つまりはコアな部分で進化し続けている怪物だ。それとは対照的に、KREVAZEEBRAそしてMummy-Dは、インディーズからメジャー、R&BからRock、様々なジャンルや人とコラボしていった結果、日本語ラップという可能性を広げていった。また、それに伴いミクスチャーバンドやラップ調の音楽が増えた要因の一つとなったとも考えられるかもしれない。

 

ップというものは、メロディーに合わせないというイメージを持たれがちで、従来の音楽好きには敬遠されがちだ。ZEEBRAKREVAMummy-Dが今まで合作したアーティスとを挙げられるだけ挙げてみると、ドリカム、ドラゴンアッシュ布袋寅泰長渕剛、AI、安室奈美恵、SugarSoul、EXILE、May J、椎名林檎、などなど本当に様々な人とコラボしているわけだが、なかなか日の目を浴びることがない。

 

回紹介する「はじまりの日」も、スガシカオMummy-Dに熱烈なオファーをしたことから、実現することができたという経緯がある。しかしながら、この曲に対する評価はラップ肯定派と否定派に大きく分かれてしまう。スガシカオの今までの作品からいって、このタイミングでMummy-Dにオファーしたことは大正解だったのではないだろうか?Mummy-Dマボロシの実績からも実力は折り紙つきである上に、スガシカオの作るメロディーはラップを合わせやすいシンプルな構造だからである。

 

の曲にラップはいらないという否定派は、少なくとも音楽通ではないし閉鎖的な今の日本音楽シーンの典型的なファンであるということがわかる。結局、その閉鎖的な状況を打破せずにいることで、似たようなバンドやアイドルの乱立がされ続け、個々での進化には限界が来てしまって、音楽離れが進んできてしまった。

 

の曲のラップのフィット具合は絶妙である。他のスガシカオの作品と比べても全く違和感が無く、Mummy-Dスガシカオの世界観を壊さずに上手く溶け込んでいることがわかる。

 

大ベテランの仕事ぶりは相変わらず最高です。

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ヒップホップでいうストーリーテラーってなんだ?

ストーリーテラーの元祖

 

トーリーテラー、これを日本のヒップホップで取り入れたのは間違いなくK DUB SHINEだといえるのではないでしょうか?


もそもストーリーテラーってなんだ?

はい、お答えしましょう!


トーリーテラーとは、一般的には「物語の筋の面白さで読者を惹きつける作家」の事であり、ヒップホップでいえば「一曲を一つの物語と見立てて内容や押韻でリスナーを惹きつけるラッパー」の事となります。


まり、めっちゃカッコよくパフォーマンスするとか美声でラップするとかカッコイイtrackに乗せるラップではないんです。ひたすら内容にこだわってつくりあげていくんです。聴くだけで情景が浮かんでくるように。 


なぜ、ストーリーテラーがすごいのか?

しかし、受け入れられないのか?


J POP=コピーライト

HIPHOP=短編小説


という説明を以前書きました(詳しくはこのブログ内の「ヒップホップはダサい?」を参照してください)が、J-POPは歌詞量が少ないために、コピーライトのように最小限の情報量しか与えないので、“遊び”が生まれるんです。この“遊び”の部分に、リスナーが自身を重ね合わせたり身近な誰かを重ね合わせることによって共感が生まれるんです。この共感させる力や共感する歌詞の力である《共感力》こそが大ヒットの秘密なんです!ということは、僕が書かなくても周知の事実だと思うので、これ以上は書きません(笑)


あれ?待てよ?

それってHIPHOPと対極じゃないか?


そうなんですよ。

語彙量が遥かに多いHIPHOPでは、《共感力》に乏しいです。《共感力》と引き換えに手に入れたもの、それは《リアリティ》です。語彙量が多いからこそできる細かい情景描写や物語の進行により、一つの作品がよりリアリティあるものに仕上がっているんです。しかし、そのリアリティ溢れる作品は、共感ではなく自分とは違うどこか遠くの物語として楽しむようになってしまうので、好き嫌いが分かれてしまうのです。これこそがストーリーテラーの宿命ともいえる悩ましい課題。


 今回は「スタア誕生」を紹介します。

 

この曲を大雑把に解説すると、「都会に上京してきた女の子が、芸能人を夢見て、騙されてAV女優になり、最後は薬物に手を出し中毒死」っていう感じです。

 

の曲のK DUB SHINEのリリックは、聴くだけで情景が浮かぶような言葉による描写に長けていることが特徴的です。また、リリックを聞いてみると倒置法や体言止めをとても多く使っていることが分かります。これにより韻を揃えやすくしています。トラックも、ピアノのメロディはシンプルでドラムバスもほぼ一定、この当時の王道スタイル(ややシンプルかも)で、これがK DUB SHINEのリリックをより一層際立たせていますね。


以下、歌詞の抜粋

その数日後かけてみた電話に 

翌日面接 嬉しい展開

約束の時間3時に渋谷のハチ公 男は友達と

「すいませんね 遅れてごめんね 説明事項等 じゃあそこらへんで」

4、5分歩いた事務所の場所 

入り口暗証番号付マンション

暗いエレベーター押す12階の一番奥 

スタジオみたいな部屋に通され

紅茶だけ出され 「ちょっとここで」と待たされ

時計の針の音ばっかり 

怪しいのかもこれ やっぱり

一瞬よぎったやめればよかった

 思った時にはもう遅かった

カメラの男がひとり後もうひとり

太った顔した男がゆっくり笑って倒すテーブル

伸ばしてくる手がコートをめくる

小さく響いたあきらめの声 

目の焦点遠くのほうへ

スターになる夢見育った 

こんなふうじゃなくてもよかった


もうね、情景が浮かんできますね。

このverseだけでお腹いっぱいなくらいに色々と詰まっていますよね。


ZEEBRAのトラックにK DUB SHINEのラップ、この組み合わせはもう二度とないと思います。最初にして最高傑作の一曲。必聴です。

youtu.be