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キングギドラ「UNSTOPPABLE」「F.F.B」の自主回収騒動から見るHIPHOPに根深くある差別

※今回の記事は、差別的な発言もあります。ただ、事実を書いているだけです。僕自身が差別的な思想を持っているわけではありませんが、日本のヒップホップが好きなので、きちんと書こうと思いました。

 

What’s up!

今日、ディスクユニオンでCDを衝動買いしました。その中には、写真にもあるキングギドラシングル「UNSTOPPABLE」「F.F.B」もあります。この2枚は、発売後に自主回収騒動となり、後に出るキングギドラアルバム「最終兵器」には「UNSTOPPABLE」に収録されていた「ドライブバイ」は収録されず、「F.F.B」は歌詞の一部を変更して収録されました。

今回は、この2枚の回収騒動とHIPHOP文化にある根深い問題について書いていきたいと思います。

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キングギドラとは?

 

※以前書いた記事を少し転用します。

ZEEBRAという開拓者 - 404 Not Found

 

K DUB SHINEアメリカ留学中にZEEBRA日本語ラップを披露し意気投合し、ZEEBRAの幼馴染であったDJ OASISと共に、KING GIDDRA(キングギドラ)を1993年に結成、デビューした95年からRhymesterBUDDHA BRANDなどのいわゆる“さんピン世代”と共に日本のヒップホップを活性化し牽引していましたが、K DUB SHINEZEEBRAの方向性の違いから96年に活動休止。各々がソロ活動の道に進んでいき、2002年に活動再開。今回紹介するシングル2枚とアルバム2枚をリリースした後にまた活動休止。2011年に再び活動再開。

キングギドラの最大の功績は、日本語でラップをするということを可能にしたことです。今日の日本のヒップホップもキングギドラ「空からの力」というアルバムが無ければ存在しなかった、あるいは、日本語でラップをしていなかったのではないでしょうか。

日本語で韻を踏むことについては、先日書いた記事を読んでいただければ大体がわかると思いますので、そちらを参照してください。

このアルバムにより、単語と単語で韻を踏む小節の最後で韻を踏む脚韻法、が日本のヒップホップの主流となっていきました。そして、この主流から抜け出したくても抜け出せずに数々のアーティストが試行錯誤しているのが、日本のヒップホップの現状でありジレンマなんです。

このアルバムが日本のヒップホップシーンの中で今でも高評価を得ているのは、このアルバムが原点でありスタート地点であるからです。どんな有名な評論家もこのアルバムを聴いていない人はいないと思います。だからこそ、気づかないどこかでこのアルバムを基準とした一つの評価軸があるんです。そのぐらいインパクトのある作品なんです。

もう一つ特筆すべき点は、ハードコア路線だという事です。アメリカの東海岸の影響を強く受けているので、骨太でダークな雰囲気のビートと過激なリリックが特徴です。日本のリアルというよりかは、アメリカのストリートヒップホップを忠実に日本語ラップに落とし込んでいる、という感じでしょうか。

 

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このアルバムから数年後に、各々ソロの道を邁進していきました。K DUB SHINEDJ OASISは、メディア露出の少ないアンダーグラウンドで、さんピン世代から脈々と受け継がれていったコアで熱い層と共に日本のヒップホップを支えた一方で、ZEEBRAは積極的にメディア露出をし、オーバーグラウンドへヒップホップを昇華していき、キングギドラ時代からの自身のスタイルを壊すことなく日本のヒップホップの一般化に努めていきました。

 

そして、2002年にキングギドラ再始動。

当時のメディアでは、大きな注目を浴びました。

同性愛者への批判や性病に関する表現が不適切であったとし、CD自主回収騒動などもありましたが、それが良くも悪くもこのグループをさらに注目させることとなりました。2002年にリリースしたアルバムでは、覚醒剤、少年犯罪、性関連、政治関連、Dragon Ashのkjを名指しで批判、などなど過激な内容の曲も多く含まれていました。

今回の記事は、この2002年の活動で起こった事です。

「ドライブバイ」

シングル「UNSTOPPABLE」のカップリング曲として収録されていた「ドライブバイ」。ドライブバイは、(走行中の)車から発砲する、という意味でいいかと。

歌詞にある通り、「言葉のドライブバイ」ということで、比喩表現として当時の日本の音楽シーンを賑わせていた日本語ラップ勢に対してのメッセージ(Dis)ソングでした。

問題のリリックを解説していきます。

ZEEBRAのHook

ニセもん野郎 ホモ野郎
一発で仕留める言葉のドライブバイ
こいつやってもいいか
奴の命奪ってもいいか

K DUB SHINEのVerse

だって分かっててやってんだろう
そのオカマみたいな変なの

ZEEBRAのVerse

おめえの連れたアバズレのレズに
火の粉かけたくなきゃバックれろMC

同性愛差別として抗議を受ける

・「ホモ野郎」

・「オカマみたいな変なの」

・「アバズレのレズ」

これらのワードが同性愛差別だという事で、発売から2週間程度で自主回収となりました。当時のキングギドラの復活は、日本のヒップホップシーンのみならず音楽が好きで幅広いジャンルを聞くような人々にも認知されており、今回はそんな有名なグループがこのような過激な内容をリリースした事が問題でした。

どうしてリリースされてしまった?

当人たちは無自覚

当時、自主回収騒動後の雑誌インタビューでも、K DUB SHINEは自分たちは同性愛者に対して偏見を持っているわけではなく、しっかりと曲を聴いてほしいといったような趣旨の発言をしておりました。デフスターレコードも、発売前に本人たちから“差別的な意図は無い”と確認したからリリースした、と公表しました。

ヒップホップと同性愛

ヒップホップを知らない人からすれば、「どうしてそこまで無自覚なんだ!」と憤るかもしれません。それは当然だと思います。しかし、そこにはヒップホップの背景にある問題があります。

ヒップホップはアメリカの黒人コミュニティで誕生しました。

アメリカで主流の宗教はキリスト教です。キリスト教では、同性愛を禁止しており宗教上の罪とされていました。今では、LGBT運動等で差別を無くそうというムーブメントが起きていますが、未だに本場アメリカでは同性愛者や黒人をNGにしている結婚式場もあるそうです。

日本と違ってアメリカは比較的宗教色が強い国です。そんな国で主流な宗教が同性愛を禁止していたのです。つまり、同性愛者というだけで悪とされていたのです。

ヒップホップに限らず、僕が最近観た映画「ムーンライト」でも仕草が女性的で同性愛者の主人公がイジメに遭ったりしていました。

ギャングの抗争代わりにMCバトルやブレイクダンスでのバトルで決着をつけた時代の名残もあり、ヒップホップは他の音楽と違って攻撃的な側面もあります。そこで、他者を攻撃する時に使う言葉に、同性愛差別を連想させるような言葉が取り込まれるのは、このような背景があるからだと思っています。

「ドライブバイ」の本当の標的は?

憶測も含まれますが、当時のオーバーグランドで活躍していたキックザカンクルーやリップスライム、ジャニーズ系に対しての曲だったと言われています。本場アメリカの東海岸(イーストコーストサイド)を軸としてハードコア路線を突き進んでいたキングギドラからしてみれば、チャラチャラとしたポップな日本語ラップによって、ヒップホップの誤った認識が広まる事を危惧していたのではないかと思います。

それらに対して、アメリカのヒップホップのように「ホモ野郎」等の言葉を使ったり、「ドライブバイ」を比喩として使い、メッセージを送りました。

しかし、その結果「同性愛者を殺してやる」と捉えられたり、同性愛者への差別だとして自主回収に繋がりました。

この「ドライブバイ」によって、日本のヒップホップに対して悪い意味でのイメージが付いてしまったのは否めません。

「F.F.B」

「UNSTOPPABLE」と同時リリースしたこのシングルも同タイミングで自主回収となっております。

「F.F.B」は「Fast Food Bitch」の略です。この曲は、夜に遊んでばかりの女性に対して、遊んでばかりじゃなくてしっかりしろよ、というメッセージソングという事にしておきましょう。

ファストフードのように気軽にSEXや持ち帰りできるBitch、というこれまたストレートすぎる表現ですよね。今だったら、フェミニストの団体から抗議が来てもおかしくないです。ただ、ヒップホップはあくまでも現実(リアル)を切り取っているという側面もあり、このような女性もいるのは事実です。

ZEEBRAのVerse

Yo! あいつはNasty Ho
胸も体もでっけえシャブリ上手
まさにポテト・コーラ付きLLセット
いつだってガンガン ノーヘルメット
マジあいつは止めた方が絶対良い
バリューパック オマケはHIV

「オマケはHIVという部分がHIV感染者への差別だとして、自主回収となりました。

「F.F.Bのような女の子と付き合うと、自分もHIVに感染しちゃうからやめとけ。」という意味に捉えられてしまい、それがHIV感染者への差別に繋がるという理由です。

再収録された際には、「バリューパック オマケはHIV」という部分がカットされました。

HIVに対する偏見や差別は少しずつ無くなってきていますが、それでもこの曲のように誤解を生んでしまう事もあります。

ただ、これについても実際に性交渉におけるHIV感染が存在しているのも事実であり、完全に間違った事を言っているわけではありません。ここが難しいところです。もう少し表現を考えればいいのですが、それをやりすぎると何も言えなくなってしまいます。

そういった意味でも、昨今のアーティストは色々なものに配慮しなければいけないので、有名になればなるほど制約も強くなっていっているのでしょうか。

ここからはオマケ

公開処刑

ZEEBRAのVerse

星の数ほど居るワックMC
これ聴いてビビッて泣くMC
まあせいぜいスキル磨きな銘々
覚悟決めんのはおめえだkj

ZEEBRAの声やライブパフォーマンスと酷似していたDragon Ashのkjに対して、ZEEBRAが1Verseをほぼフルに使ってDisりました。この後に、kjは活動を休止しました。

K DUB SHINEのVerse

あと芸能系の聴くと勘狂う
リリックつらい 屁理屈ライム

“聴くと勘狂う”→「キックザカンクルー」“屁理屈ライム”→「リップスライムを揶揄しており、ポップ路線でオーバーグランドで活動していた2組に対してK DUB SHINEはDisをしました。YouTubeに上がっている動画では、キックザカンクルーのKREVAは当時の事を振り返って、ショックだったと語っています。そして、自身は絶対にDisを仕掛けないと誓ったそうです。

たしかに、KREVAって誰かとバチバチにやり合っている印象がないですよね。王者としての貫禄です。ただ、OZROSAURUSのMACCHOとは何曲かバチバチにやりあっているのも興味深いです。両方とも大好きなラッパーなので、いつの日にか和解してほしいと切に願っています。

「最終兵器」

Yo! シャレんなんねぇだろう
現実を描かなきゃストリートじゃねぇ
テレビじゃいいけどCDじゃ不可能?(ムリ)
言いてぇ事言うのがヒップホップだろ
周りのヤツらのケツにキスして
本当どいつもこいつも自主規制
クソみてえなのが出回ってるぜ
そろそろリアルにいかねえと
思いもよらねぇ まさかの指導(こうげき)
メディアからは恰好の標的
無視されがちな過去の功績
まぁメーカー(ヤツら)にしちゃあ上出来

Yeah こいつぁストリート・シット
他は関係ねぇ ヒップホップ的にはマジ完成型
俺ら居なきゃ何も始まんねぇぜ
戦わなきゃ何ひとつ変わんねぇぜ
物分かりのわりいことばかり
物語みてえなことばかり
事件發覚後チャートから削除
自ら暴露 順位操作の悪を
サッと目の色変えず 手の平かえす
そんで推すラッパーは手の平サイズ?
なら一寸法師の鬼退治
悪りぃがとっくにつかねぇぜ取り返し
意見が危険と事件の扱い
名刺代わり オレら流のサツアイ
遠慮は無用 説明不要
冷静な口調で自分を主張

自主回収後に発売されたアルバム「最終兵器」の1曲目に収録された曲です。歌詞はフルで載せました。

 

最後に

自分たちが意図していない部分を切り取られて、このように自主回収騒動が起きるのは大変に残念な事です。しかし、それで傷ついた人もいるのであれば自主回収は致し方なかったのかと思います。

ただ、ヒップホップの文化を深く知らずに一方的にキングギドラを批判するのも違う気がするなー、とも感じています。

表現者であるならば全てに対して気を遣え!とは思いませんが、自分の発信によって誰かが傷つくかもしれないという覚悟は持っておいたほうがいいですね。自戒も込めて。

そして、受け取る側も自分の受け取り方だけで騒ぎ立てるのではなく、しっかりと相手の背景を汲み取るべきです。ノイジーマイノリティーと括られる人たちに足りないのは、そのような部分なのかもしれませんね。

 

日本語ラップから生まれた名言!!

第2弾!

 

今回は、量が少ないしテーマもバラバラで書いてます。すみません。

 

↓第一弾はこちら

日本語ラップから生まれた名言! - 404 Not Found

 

 

 

で、何かを今日責めても

ただ自分ってもんすら嫌になっていく

じゃあ、恨むより愛せたら?

せがむより許せたら?

 -NORIKIYO「What Do You  Want?」

 

周りを責めても残るのは虚しさだけ。でも、そう分かってても実行するのは難しいですよね。シンプルだけど難しい、大切な事ですね。

 

変わらない愛をくれないか

そんなものは無いって知ってたさ

でも君とならなんて思っては

馬鹿みたいな期待を寄せてたんだ

 -Revi「BLUE」

 

運命の出会いとか人とか、この人だ!って思ってても上手くいかなかったり…10代や20代の恋愛観が詰まっています。

 

60ワットの栄光さ 

全然金無くても成功者

一本道を行こう

洗濯物干すのもHIPHOP

 -ZORN「My Life」

 

お金じゃなくて、家族との日常の幸せがあれば成功者って言い切れるのがいいですね。

 

ZORNの認知度が一気に広まった小節。個人的には、“洗濯物干すのもHIPHOP”よりも“60ワットの栄光さ 全然金無くても成功者”という部分が好きです。新譜のLostを聴くと涙が出ます。

 

美女のモデルとかリゾートホテルより

味噌と米ありゃ理想と呼べる

 -KREVA  feat.ZORNタンポポ

 

こちらもZORNです。本当の幸せは身近なところにあるのですね。

 

なんで知らないんだ 夢の在処

完璧は無いんだ 胸を張りな

KICK THE CAN CREW  feat CUEZERO

「sayonara sayonara イーゼ」

 

夢追う人達の背中を押してくれますね。完璧じゃなくてもいいから胸を張って突き進め。

 

そしてまさかの小節15文字全てで韻を踏んでいるという。日本語ラップ史に残る名バースです。

 

今日はここまで!

また色々とかき集めておきます。

 

 

パラリンピック×HIPHOP

What’s up!

最近は、noteに浮気ばかりしていましたが、久しぶりに日本のヒップホップについても書きまくりたいと思い、こちらでも更新します。

 

↓noteはこちら。

パラリンピック×J HIP HOP|けーすけ|note

 

https://youtu.be/bWWrtfOBAoU

 

こちらでは、もっとラッパーを深掘りしていきたいと思います。

 

目次

 

ベアトリーチェ・ビオ×Mummy-D

 

 イタリアのフェンシング代表のベアトリーチェ・ビオ。イタリアでは、熱狂的な人気のあるインスタ70万人フォロワー越えの人気実力共にトップアスリート。愛称は、「ベベ・ビオ」。情熱よりも熱い魂を持っている、パラスポーツ界のみならず、スポーツ界全体に影響を与える人物、などなど様々なポジティブな記事も多くあります。

 

 ラップしたのは、日本のヒップホップの生きる伝説、Mummy-D(まみーでぃー)早稲田大学時代のサークル仲間とRhymester(ライムスター)を結成、MCとして90年代から今でも現役で活躍し続ける日本を代表するラッパーの1人です。ちなみに、この大学時代のサークルの後輩にはゴスペラーズもいます。ヒップホップシーンのみならず、スガシカオなど著名なJ-POPシーンの人ともコラボしており、個人的には、日本を代表するラッパーを聞かれたら、必ず挙げる1人です。


失われた腕伸ばして突く
この世界の不条理


「ただのgood girlじゃないの」と、
突っぱねる薄いありがちなストーリー


今やハンディキャップあるフェンサー超えて
未来のインフルエンサー


 このバースだけでも、ベベがどのようなハンディキャップを持っていて、どんな性格をしているか分かりますよね。

 

 そして、Mummy-Dの癖である、単語の羅列(偏見や憐憫や安直な感動)や同じ単語の繰り返し(今日も前に前にひたすら前に向かう)も健在。

 

 何よりもビートアプローチがすごい。ビートに上手く乗せられずにぎこちなく聞こえるラッパーもいる中で、Mummy-Dは30年近く前から比較的スムーズに乗りこなしています。「愛称」の部分は語尾を少し伸ばして置いていき、「騎士(ナイト)」ではスパッと切って韻を踏みつつ、「プライド」では最初の方を少し伸ばしており、発音だけでラップに抑揚をつけていますね。

 

 様々なアーティストからアプローチされる理由が分かります。

 

パトリック・アンダーソン×Awich

 

 カナダのバスケ代表のパトリック・アンダーソン。4度のパラリンピック出場で、金メダル3個を獲得したパラバスケ界のマイケル・ジョーダン。出場しなかったリオ大会では、カナダは11位。母国を救うべく現役復帰したという愛国心溢れるスーパープレーヤー。あんな激しいパラバスケに4度も出場して、3個も金メダルって凄すぎますね。今回の東京大会での復活もどのようなものか目が離せません。

 

 ラップしたのは、Awich(エーウィッチ)。沖縄出身でアメリカに渡米後に学士号を取得し、結婚。家族と日本に戻ろうとした矢先に、夫が銃殺されてしまいます。Awichは娘と共に日本と戻り、日本で再び音楽活動を始めました。今、日本を代表するフィメールラッパーとして話題沸騰中です。流暢な英語と低めの声が織り成すフロウが最高です。日本一かっこいいシングルマザーではないでしょうか。

 

その君の、両手両足使って、
付いてこれんのこのペース?


俺に足枷など掛けられない
見てのとおりな


 両足欠損しているから足枷など掛けられないし、五体満足でもパトリック・アンダーソンには付いていけない、というハンディキャップを物ともしない王者の貫禄を表現しているバースですね、カッコよすぎる。

 

 個人的には、バイリンガルラッパーで耳障りがいいのは、最近ではAKLOとAwichくらいですね。

 

 Awichも韻を踏むときに少し力を込めていますが、わざとらしくないし耳に残ります。歌詞でカタカナ表記されている部分もバリバリの英語発音でカッコいいところが好きです。

 

 このメンツで一番キャリア浅いのにも関わらず、Mummy-DZORNに並んでも劣っていないのがスゴすぎる。普通だったら絶対に食われているはずなのに、他の2人とは違ったバイリンガルラップで光り輝いています。

 

 一昔前、S7ICK CHICKsがこのままソロで各々シーンを賑わすのかな、フィメールラッパーが再び台頭してくるのかな、と思っていましたが、その後に高ラとかの流れで中高生や若者に人気爆発のちゃんみなが出てきたり、フィメールラッパーの移り変わりも激しい中、Awichはコンスタントに作品を出し続けて様々なラッパーと共作しており、今後も目が離せないですね。

 

 「LOVE  ME  UP」ではバリバリ大麻についてラップしており、PVでも小ネタをふんだんに使っていて、意味が分からなければChaki ZuluのチルなトラックにAwichのラップが心地良いチリングソングですが、意味が分かる人にはトラックの緩さとリリックの面白さにニヤケが止まらないこと間違い無し。


国枝慎吾×ZORN

 


 日本のパラテニス代表の国枝慎吾。男子歴代最多優勝記録を保持している日本のみならず世界を代表するプレーヤーです。年間優勝回数も8回を記録している実力。2006〜2020の15年間で、2006、2012、2016、2017の4年間以外では、グランドスラムの4大会中1大会以上で優勝しているという圧倒的な強さ。

 

 ラップしたのは、ZORN(ぞーん)。つい最近、日本武道館での単独ライブも達成したラッパー。新小岩出身で、ガチガチに固すぎる韻と等身大のラップが特徴。「洗濯物干すのもヒップホップ」という1バースは有名ですが、ZORN THE DARKNESS時代の“奮エテ眠レ”から既に最高です。般若からのアドバイスで、足し算ではなく引き算でリリックを作ったことによって、それ以降からはバースいっぱいに言葉を詰めこみまくるのではなく、洗練された言葉を確実に落とし込むスタイルになっております。近年では、KREVA、MACCHO、などのレジェンド達と並んでも負けない程です。現在の日本のヒップホップの最高到達点の1人ではないでしょうか。

 

日本から世界獲った 連覇し凌駕
変化し強化 限界突破
世代交代 先輩後輩
関係ねえのが絶対王者


SHINGO KUNIEDA
見てろ 金を首へ巻く


 韻を踏みすぎているだけでなく、意味もしっかりと通っています。ゴリゴリの畳み掛ける韻にお腹いっぱいになります。そして、「SHINGO KUNIEDA」と「見てろ 金を首へ巻く」の部分は、言葉を少なくして耳に残りやすくなっていますよね。こういう落とし方がZORNの良さ全開で好きです。

 

 「韻の飛距離」を大事にしているZORNですが、今回は控えめでしたね。

 

 ただ、韻が固すぎる。Mummy-DやAwichもライミングスキルありますが、ZORNに比べると敵いませんね。まあ、前者2人はフロウが最高なので韻に拘って聞くタイプではないですが。

 

 ここまで固いのに意味をしっかりと通しているのにも脱帽です。

 

 ZORNってKREVAとかMACCHO、般若、NORIKIYOとかと共演してるしニューレジェンドだと思ってます。

 

 娘さんのためにもせっせとCD買いますね。

 

ラストバース

 

越えられる 越えられる

我らは越えられる

越えられる 越えられる

必ず越えられる

 

変えられる 変えられる

未来は変えられる

と決めて走り出した君を

誰が止められる

 

 3人のパートが終わってラストはサビのようなバース。これ絶対にMummy-Dが書いたでしょ、って思わせるフレーズ。

 

 同じ単語の繰り返し、そして、若干違う単語を続けて使う、最後に1フレーズでバシッと決める。

 

 Dさんの良さが滲み出ている。溢れかえっている。曲も最後にパッと終わるのがいい。下手にアウトロで余韻残そうとしないのが粋。

 


最後に

 

 いかがでしょうか。こうやって1人のアーティストにフォーカスしてラップするとお互いの良さが光り輝く気がします。パラリンピックは、オリンピックよりも話題にされない事が多いですが、こういう形でアスリートを知れば競技を見るキッカケになりますよね。オリンピックの開閉会式よりも、この一曲の方が魅力的だと感じました。

 

 ここ数年、再び日本のヒップホップシーンがオーバーグランドへと伸びつつあります。それと同時に、少しずつ認知されるのは嬉しいことですが、日本のヒップホップも負の面が多いので、誤解されることも多いのが辛いです。

 

 最近でも、舐達磨のメンバーの逮捕、KENNY-Gの逮捕、で悪い形で日本のヒップホップがトレンドに上がりました。大麻はダメだし反社の人間がラップしているのも今の日本では受容されないのは当たり前ですが、それを日本のヒップホップに一括りされるのも違うと思ってます。まあ、DOTAMAのように警察の撲滅キャンペーンに乗っかって大炎上するのも違う気がしますが。

 

 また、気が向いたら不定期的に更新します。アクセス解析を見ていると、リリックの名言集とラップ解説系の閲覧数が堅調なので、そっち関係で何か書きますね。

 

『天才はあきらめた/山里亮太著』感想 ここから凡人が学ぶべきこと

 

お久しぶりです。

書くネタもなかったので、本の感想でも。

 

南海キャンディーズの山ちゃんといえば、2004のM-1グランプリのファイナリストとしてブレイクしてから相方のしずちゃんと数多くの番組に出演し、現在ではラジオ等でも幅広く活躍している芸人さんですね。個人的には、いじられキャラだけではなく腹の内に渦巻く闇と豊富なボキャブラリーを武器にしたトーク力が大好きです。

 

この本はそんな一見すると輝かしいだけかと思うような山ちゃんのコンビ不仲時期をはじめとした自分の失敗や弱いところを包み隠さずに曝け出しております。

 

この本から凡人の学ぶべき事はあるのか。答えはYes!

今回は少しだけピックアップしていきたいと思います。

 

”夢””目標”は甘美なものでなくていい。スタートラインに立つ事が大切。

山ちゃんが芸人を目指したきっかけも「モテたい」というシンプルなものでした。「何者かになりたい」という最初の目標は忘れないけれども「モテたい」というもっとシンプルで見えやすい目標を見据える事で自分に対してガソリンを注入していきました。モテるための選択肢として”芸人”の道を選んだだけだったんですね。

 

”芸人”や”会社を立ち上げる”等の夢や目標は周りからも一目置かれますが、別にそんな大きな事だけではなくていいのではないかと言ってくれている気がします。

 

だから、皆さんも「夢が無い...」とか「目標が見つからない...」と落胆する必要はありません。もっとモテたい、もっと人気者になりたい、一見すると不純な動機かと思われるかもしれませんが、それも立派な夢であり目標です!まずはスタートラインに立つ事が大切です。

 

②自信を貯金する/張りぼての自信

山ちゃんは芸人を目指す上で「芸人になるための自信」というものを小さな出来事から少しずつ積立貯金をしていきました。この本では積み立ててできた一定額を”張りぼての自信”と紹介をしています。この”張りぼての自信”というものがまず大切な事なんです。

 

皆さんも何かを目指そうと動き始めた時に様々な壁が出てくるかと思います。その様々な壁にどうぶつかっていくか。そこで大切なのがこの自信貯金です。例えば、「こんな自分が画家を目指すなんて...やっぱり無理だな...」って思った時に、この貯金を切り崩していけばいいのです。「でも、あの時にみんなに絵を褒められたから!」「これだけ頑張っているんだからきっと大丈夫!」と今までの積み立ててきた貯金を少しずつ出していって奮起すればいいのです。

 

日常生活の中での些細な成功体験もいいので、きちんと自信銀行自分支店に預けておきましょう。それが未来の自分に必ず役に立ちます。

 

②常に自分を確認する/立ち位置を見誤らない/退路を断つ

”天才はあきらめた”と本のタイトルにできるくらいに山ちゃんは謙虚です。むしろ卑屈と言ってもいいくらいに自分の立ち位置を見ています。しかし、たまに”天狗の山里”が出てきては色々と失敗をしているのが山ちゃんも人間なんだなあ・・・と思わせてくれます。その失敗についてはこの本を読んでいただければと、ここで話すよりも山ちゃんの言葉で読んだ方が面白いです。

 

さて、少し脱線しましたが②について。山ちゃんは自分が天才ではないと自覚しており、だからこそ努力を怠る事をやめませんでした。どうすれば自分は天才と同じ場所に立てるのかを常に考え続けておりました。”芸人としてどうすれば売れるのか?”を徹底的に考えて考えて考え続けていました。挫折しそうな時は、自分より売れている同期の活躍を見たり、今まで自分をないがしろにしてきた人を見返してやる、という努力するための燃料を自分で注入していき、ガソリン満タンにしてからまた走り出していきます。そして、弱い自分も知っているからこそ逃げ道を自分で塞いで頑張るしかない環境を作っていきました。

 

「こんなに頑張っても上手くいかないなあ...」「サボりたいなあ...」皆さんも勉強や仕事などでこんな体験をした事ありませんか?ここで楽な逃げ道は”自分よりも下の何かを探して自分を肯定する”ことによって努力を怠る自分を正当化する方法や”やっぱり才能無いから...”と自分を下に見て安心させる方法があるかと思います。しかし、自分で努力できるようにするためには下ではなく上を見続ける事です。そこで大切なのが①です。

 

例えば、「モテたい」と思って努力している時になかなかモテない。そんな時に「Aよりはモテているからいいや」「どうせ自分なんてダメだし」ではなく「どうしてBはモテているのだろうか、自分には何が足りないのだろうか」と自分の目標である「モテたい」のためにきちんと自分の今の立ち位置を再確認して、ここから先の道のりをきちんと見定めていくことが大切です。

 

一時期に爆発的な人気を博したライザップもこれと同じ事ですよね。「やせたい!」という目標を作って、事前に大金を払って頑張らないといけない環境を自分で作っていく、そして経過測定等できちんと定期的に今の自分を再確認する。理に適っていますね。

 

今の自分ときちんと向き合いましょう。目標と今の自分との距離を常に確認し、目標へ近づくために何をすればいいかを考えましょう。

 

③燃料がないと車は走らない

②でも少し書きましたが、山ちゃんは努力を怠る事をしません。”天才はあきらめた”という本書のタイトルなのであえて天才という言葉を使わずに言いますと山ちゃんは自分が努力するための燃料を自分できちんと見つけている。という点が誰よりも強いのかなと思います。その燃料が「モテたい」と「いつか復讐してやる」という正と負の二つです。こうして書いていると性悪でマネをするのが憚られるかと思いますが、このシンプルで分かりやすいほうが燃料としては最適ですね。

 

皆さんも「いつかあの人とお付き合いしたい!」と思ったり、学校の先生や会社の上司や先輩からバカにされた時に「いつか見返してやる!今に見てろ!」と思ったりすることがあるかと思います。大切なのはその気持ちを燃料にして走り続けていくことです。②を忘れずに心折れる事なく走れるための燃料を注入していきましょう。

 

燃料がないと走ることはできない。自分のための燃料を注入する事を忘れないように。

 

④人との出会いを大切にする

山ちゃんは本の中で”人に恵まれている才能がある”と何気無しに書いてます。いや、何気無しとは失礼ですが他のエピソードや学びがインパクトあるために少し霞んでみえています。しかし、この本の中で個人的に一番響いたのはここでした。自分も常日頃から”周りの人に恵まれている”と思っていたからでした。山ちゃんが素敵なのはその才能を自覚しつつ無自覚なところです。

 

自分ベースで書かせてもらいますね。例えば、仕事。上手くいかない事があったり解決策が見つからなくて悩んでいる時に、自分のためにアドバイスをくれる人もいれば責めてくる人もいます。こんな時に皆さんはどうしますか?優しい人は心ない言葉で深く傷ついてますます負のスパイラルに入ってしまうかもしれません。しかし、自分は前者しか気にしません。後者のことも気にしつつきちんと傾聴するのは前者の人だけです。そして、結果が出た時には”アドバイスをくれた人へのありがとう””冷たい言葉くれた人への「どうだ!見たか!」”の二つの感情が残ります。これは③の正の燃料と負の燃料とも繋がりますね。しかし、ここで負の燃料の結果を見てしまうと自分が情けなくなり惨めな気持ちになってしまいます。だからこそ、正の燃料の結果だけを見るのです。

 

出てきた結果については、①の自信銀行自分支店の口座に振り込んでおいて積立を増やしておいて、ここで自分に傲る事なく②をしっかりと忘れずに、きちんと周りへの感謝を忘れないようにする。

 

これを繰り返すと、自分は才能も何もないけれど周りの人に恵まれているおかげで頑張る事ができているしもっと頑張れる、という正のスパイラルに入ることができます。そして、周りへの感謝の気持ちも忘れないからこそ更に良い出会いに恵まれていきます。いや、ここまで書いたから分かるかと思いますが更に良い出会いができたと思える自分が出来上がっています。

 

何が言いたいかといいますと、良い出会いかどうかを決めるのも結局は自分次第でしかないという事です。自分に優しい人との出会いが良い出会いかもしれませんし、自分に冷たい人との出会いが自分にとっての良い出会いかもしれません。それは自分が決める事であって、いつまでも良い出会いを待つのではなく良い出会いだったかを考えてみてはいかがでしょうか。

 

良い出会いは待つのではなく、自分で決めるもの。そして、その出会いに感謝を忘れないこと。

 

⑤謝ることも大切

山ちゃんはこの本の中で自分の失敗談や醜い部分も全て洗いざらい書き綴っています。そして、そのせいで迷惑を掛けて傷つけたみんなへ謝っています。ここが山ちゃんのすごいところだと思いました。人というのは、年を取れば取るほど自分が悪いと思ってもなかなか謝ることができなくなっていきます。しかし、山ちゃんは自分が悪かったところを素直に認めて”ごめん”と言っています。しっかりと自分を再確認して自分の悪いところとも向き合ったからこそ出来た事だと思いました。

 

しっかりと②の自分の再確認の時に、悪かったと思ったところも認めて謝るということも大切ですね。そこで初めてきちんと自分を再確認できて前に進めたということになるのでしょう。

 

自分を振り返り、悪いと思ったところは反省する。

 

⑥最後に

この本を読むとどうして”天才 山里”が生まれたのかが分かります。”山ちゃんは天才だ”とここで言うのは悔しいので言いたくありません(笑)万が一、億が一、この記事を山ちゃんが見たとしても彼は”自分銀行・山里支店”にせっせと貯金するだけで傲る事なく努力を怠らずに頑張り続けると分かっているからです。そして、何かスランプに陥った時にこの記事も切り崩して頑張っていくのだと思います。

 

”お笑いの天才”や”努力の天才”と言ってしまえば、自分なんか天才はないし絶対に無理だろうなあ...と思うかもしれません。しかし、天才と言われている人も同じ人間です。大切なのは、夢や目標はどうやって見つけるのかどうやって頑張っていけばいいのか、というシンプルなものです。それを無意識に自然体でやっていけるのが所謂”天才”と呼ばれる人たちだと思いました。では、才能が無い我々のような凡人はどうすれば天才と同じ景色を見る事ができるのか、そのヒントがこの本に散りばめられています。謙虚すぎる山ちゃんだからこそ、ここまでシンプルに誰でもマネできるような思考法にまで落とし込んで書き綴ってくれているのかなと思います。

 

この本にはここで紹介しきれなかったエピソードや学ぶべきことが沢山あります。漫才の構成のように読み手もどんどん読みたくなるようなワクワクする本です。さすが天才(笑)オードリー若林さんのあとがきも非常に面白く、次は「社会人大学人見知り学部 卒業見込」を手に取りたくなりました。

 

最後に一言、自分も天才はあきらめました。

 

セントオブアウーマン 〜ロンリーガールとの回顧録〜

 

すべての少女たちへ捧ぐ

 

お久しぶりです。

 

今日はヒップホップの話でもなく趣味の話でもなく、17歳の頃に出会った同級生の子の話をしたいと思います。

 

高3の春に部活を引退していた僕は、大学受験を志して予備校に通わせてもらうことにしました。高校は男子校だったため、女の子というものに接する機会というのは付き合っていた彼女を除くとほぼゼロに等しいものでした。そんな僕は予備校に通い始めて色々な学校の人と知り合う事ができました。お嬢様学校だったり、名門校だったり、今まで自分の高校生活だけでは到底会うことが出来なかった人たちと出会う事ができました。

 

とてつもなく可愛い子や美人な子も勿論いましたし、そういう子たちと授業の前後に雑談できるのも受験勉強で頑張る中の束の間の幸せでした。

 

そんな中、ある1人の子と会いました。

もう本名は忘れてしまいましたので、仮にA子としておきましょう。今日はA子の話を皆さんにしたいと思います。

 

A子とは理系の授業が一緒でした。その授業は浪人生が多く受けていて、現役生は自分も含めて3人程度でした。A子が諸事情で授業を休んだ翌週に先生が「そういえば、先週は授業休んでいたよね?ノート見せてもらいな!」とA子に言いました。そして、A子はその授業の後に僕の元に来て、「ノートを見せてほしいです…」とお願いしてきました。

 

それがA子との初めての対面でした。というのも、A子はいつも遅刻ギリギリに来て最前列近くの席に座っていたため、後ろの方でいつも授業を受けていた僕からは顔が全然見えない位置にいました。授業後もすぐに荷物もまとめて帰ってしまうため、その時まで一度も顔をきちんと見る事ができずにいました。

 

実際にA子と対面してみると、めちゃくちゃ可愛いとか美人とかではなくどこにでもいるような普通の顔立ちで、スタイルもスラリとしていて細身で華奢な足と腕が今にも折れそうなくらいでした。

 

しかし、どこか他の同い年の子と比べると、否、その当時の予備校に通っていた浪人生も含める予備校生の女子全員と比べても何か惹かれるものがありました。その謎の魅力は魔力といえるくらいに強い力を放っており、惹かれまいとしていても自然と吸い込まれてしまうものがありました。

 

「ノートを見せてほしいです…」と言われ、僕は咄嗟に「うん、どうぞ」とだけ返して自分のノートを手渡しました。僕のノートのコピーを取り終えたA子はお菓子と笑顔を添えて「ありがとう」と言ってノートを返しにきました。その時点で完全にA子に心を奪われていました。ただ、好きという気持ちではない事はたしかでした。しかし、それでもA子をもっと知りたいという欲が湧きはじめました。

 

その後も授業の前後にたまーに話すくらいの仲になりました。本当はもっと色々と話したかったのですが、なぜかどこかでA子に対して怖いという感情があり、これ以上は知らない方がいいのではないのかという本能が働いていました。実際にA子との会話も学校の事とか勉強の事ばかりで、お互いの私生活や過去には干渉しないという暗黙の了解がありました。

 

そんなこんなで僕が第2志望の大学に受かった頃には予備校の授業もありませんので、A子と会う事も二度と無いだろうと思っておりました。A子とは結局メルアドも交換していなかったので、連絡手段も何も無い自分としては無手の状態でした。

 

大学1年生の4月。僕は自分の通っていた予備校の事務員としてアルバイトをする事になりました。たまたまバイト募集のハガキが来ていたため、バイト探しをはじめていた自分にとっては探す手間が省けたのですぐに応募して合格。予備校生ではなくアルバイトとしてまた予備校に通う事になりました。

 

ある日、いつも通りに授業開始前に教室前の廊下で待機しているとA子が現れました。久しぶりに会ったためか、お互いに見知った顔に会えたためか、ホッと自然と笑みがこぼれました。

 

 A子は志望校に落ちたため、浪人をして再受験する覚悟をしたとの事でした。久しぶりの再会で色々と話したい事も山ほどありましたが、授業前の待機時間は僅か数分くらいしか無いため、A子に「アドレスを交換してほしい。今度、飲みに行こうよ。」と伝え、アドレスを書いた紙を渡しました。A子の返事を聞く前に丁度チャイムが鳴ってしまい、僕はまた業務に戻りました。

 

その日の帰り道に見知らぬアドレスからメールが来ました、A子からでした。A子は飲みもOKしてくれてすぐに翌週の週末に2人で横浜の居酒屋で飲む事になりました。待ち合わせして2人で居酒屋に入り、席に着くなりA子は慣れた感じで注文を頼みました。マイセンの6mmのソフトを愛飲していた僕はA子に「吸ってもいい?」と聞くと「私も実は吸っているから」といい、小さなセカンドバックから女性向けの細いタバコを出して火をつけました。その自然な手つきに驚きを隠せずにいると、「実は私さ…」と自分についての話を始めました。

 

予備校に通う前の高2くらいから横浜駅付近で援助交際を行っている事や今でいうところのパパ活も頻繁にやっていた事を僕に話してくれました。飲酒も喫煙もそこで色々と学んだとの事。JKブランドというものは男性からは大人気なのだとか。

 

「まさかこんな子が…」と最初は信じることができませんでした。地元が地元なのでそういうものに縁遠かった訳ではないのですが、そういうのはもっとすれたような人たちがやっているという認識でした。だからこそ、顔もスタイルも普通なA子みたいな子がやっている事は自分にとっては驚きでした。しかし、そこで初めてA子が他の同年代の子には無い色気というか魅力がある理由が分かった気がしました。A子の経験回数は本当に桁違いだったため、その経験が何とも言い難い女性としての色気とその奥深くにある暗い闇を纏わせていたのだと、そう思えました。

 

A子が自分の話をしている間の表情はどこか寂しく後悔しているみたいで、時折吸っては吐いた溜め息混じりのタバコの煙も何処か行くあても無く居酒屋の天井へ上るだけでした。「このままではいけないと思いつつも、楽してお金を稼げるということでやめるにやめられない」とA子は言い、続けて「まあ、仕方ないか…」と。

 

2人で3時間近く飲みましたが、終始お互いの今までの過去の事をはじめとしたプライベートについて話をしました。きっとA子も自分の援交話をした瞬間に今日が最後だと思ったんでしょうか、僕も周りの人には大きな声で話せないような過去を話し、お互いに今まで頑張って1年以上も隠してきたものはたった3時間で全て溢れ出てしまいました。

 

それ以来、バイト中もA子を見かける事は少なくなり、メールの回数も次第に減っていき、携帯の機種変更も何回かした今ではA子の連絡先を知るものは一つも残っていません。

 

今の僕は24歳になり、A子と出会った7年前も遠い昔のように感じます。そして、この7年間で本当に素敵な女性の方々と出会い、あの頃の自分の想像がつかないような綺麗な方々と語り合う機会も沢山ありました。

 

そして、あの頃に僕がA子に感じていた魅力を持っていた人たちとも沢山出会いました。それは決して援助交際をしている人というわけではなく、素敵な恋愛を重ねてたり、色々と知識や見聞を広めてきた人たちです。

 

僕があの頃にA子に感じていた魅力というか魔力というものは、他の人にはない何か特別な経験を纏ったものがあったからだったという事でした。

 

A子は17歳の自分の身体の価値と引き換えに泡銭と女性の色気を手にしました。でも、飲み会で僕に語った時の寂しげな表情もそうですし、それは結局は自分の価値を安売りしているだけだったんだと僕は思います。

 

TOKIOの山口君の話ではないですが、若い女性というものは本当に魅力的だと思いますし、だからこそ世の中の一部の悪い男性たちから狙われているのも事実です。そこでお金等に釣られて自分で自分の価値を下げるような行動はやめてほしいです。こういう事を言うと、綺麗事とか世の中は金だとかいう方もいらっしゃいますので、もっと違う言い方をしましょうか。

 

女性の皆さんは、自分の思っている以上に自分の価値がありますよ。

 

 

youtu.be

 

 

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2017年に観たベスト映画!

あけましておめでとうございます。

 

 

久しぶりの更新は昨年に観たイチオシの映画を紹介したいと思います。

 

ネタバレしたくないんでサクッと紹介。

 

2017年に公開した映画

 

オトナ部門

『LA LA LAND』

 

ミュージカル映画を映画館で初めて観たということもあって、とても楽しく見れた作品です。女優を目指すミアとジャズピアニストを目指すセブの2人を描いている作品ですが、楽しくも切ないストーリーを曲に落とし込んだ数々のシーンは最高です。

 

但し、この作品の評価を低評価した方の中には「よく分からなかった」という意見も多かったそうです。たしかにこの作品は全てを語っていません。小説でいうところの行間の余白を楽しめない人はつまらないと感じてしまいます。そういう意味でも少しオトナな感じの映画だったと思います。

 

海賊部門

パイレーツオブカリビアン5』

 

我らがジャック・スパロウが戻ってきた!と思いきや、今回の主役は間違いなくジャック・スパロウではなくヘンリー・ターナーとカリーナ・スミスの2人でした。バルボッサも作品を重ねる毎に良い味を出していますし、今回の敵役のサラザールも今までの作品の敵役に負けず劣らずのキャラクターです。

 

今までの作品の小ネタ等を上手く取り入れている構成と、ラストのヘンリー・ターナーとカリーナ・スミスのラブシーンも霞んでしまうウィルとエリザベスの再会シーンは1~4までの作品のファンであれば興奮すること間違い無しでしょう。

 

ディズニー部門

美女と野獣

 

エマ・ワトソンが可愛い。これだけでも観る価値がある作品です。というのはさておき、ララランドに続きディズニーも実写のミュージカル映画を出したというところは何かの巡り合わせを感じました。ミュージカル映画という点では、今までの他の作品に比べると物足りない部分というかディズニー色が強すぎるんですよね。

 

しかしながら、本番さながらのリハーサル等をしている本作の完成度の高さに圧倒されます。CG技術の発達のおかげもあり、アニメ版の美女と野獣の時と何ら遜色ない寧ろ進化している映画となっております。セリーヌディオンの歌も良いですよね。

 

銀河部門

スターウォーズ8』

 

12月に公開したこともあり、2017年の締めとしては良かったと思います。でも、個人的にはあまりしっくりこなかった作品でした。

 

今までのスターウォーズ作品とは違っていて「ああ、ディズニーに買収されたんだな」と感じる作品でした。黒人やアジア人、そして女性の管理職の多さ、平等主義的リベラリズムが前面に押し出されているような気がしてなりませんでした。人種差別をしているわけではありません。ただ、今までのスターウォーズという世界観は白人と醜悪なモンスターと可愛らしいモンスターばかりだったのに、エピソード7以降からはその世界観を一気にぶち壊している気がします。ジェダイやフォースの能力についてもツッコミどころ満載の今作ですが、ルークスカイウォーカーを中心に描かれた今回の構成はエピソード4~6からスターウォーズサーガにハマった人間としては楽しめたと思います。

 

ただ、スターウォーズ以外の作品もそうですが、三部作の真ん中の作品というのはとても扱いづらくどこで区切っていいものか難しいところかと思います。その点、今回の作品は真ん中の作品としては上手く収めているのかなと思います。

 

ヤクザ部門

アウトレイジ 最終章

 

ヤクザというか武士道というか何というか、カタをつける。とはこういう事をいうんだなというのを体現している映画。大友という老いた下っ端ヤクザを通して描かれる本作ですが、昔ながらの裏社会の格好良さも描かれていると思いました。

 

今時このような筋を通すヤクザたちが何人いるのでしょうか。題名や暴力シーンばかりではなく豪華キャスト陣を揃えて描かれた昔ながらの任侠というものを垣間見えた作品でした。

ネタくさいってなんぞや?MCバトルの今後は?

 

おひさしブリーフ!

という時代遅れのフレーズと共に久しぶりの更新!

 

今回はFSD(フリースタイルダンジョン)や高校生ラップ選手権やらKOK(King Of King)やらで徐々に認知度が高くなってきているMCバトル(即興で相手よりも上手くラップして倒すバトル)について。

 

即興で言葉を繰り出して勝負するっていうのは本当に難しい。

しかも、相手の言葉に上手く乗せてアンサー(返す)というのは至難の技。

 

自分も昔は少しだけこのフリースタイルをかじりましたが、即興で言葉を繰り出すだけでも難しいのに相手の言葉に上手く乗せて返すのなんてめっちゃ難しい。

 

日本のMCバトルもBBPやらUMBから始まり、どんどんレベルが上がってきています。

 

MCバトルほぼ黎明期での高次元のスキルを示したKREVA(10年以上も前なのに今でも遜色無いほどのスキル)、KOKの主宰でもある(言葉尻ではなくバースの最初で韻を踏む頭韻法の)、HIDADDYFORKによるガチガチの韻踏み勢、その後の晋平太R-指定により更に上がった韻を踏む技術。そして、数年前からはスタイルウォーズと呼ばれる韻をあまり踏まないMC(呂布カルマ等)も増えてきました。

 

そして、YouTubeでも様々なMCバトルがアップされており、どんどん多くの層に認知されています。

 

そんな中で、よく聞くセリフが「ネタくさい」という言葉。つまり、その場で言葉を考えるのではなく、予め用意したフレーズを使って即興ラップをするという事。

 

個人的には、ネタを仕込むのは良いと思うんですが…

一部界隈のラップオタク達はこれを許さない人も少なくありません。

 

エミネムもラップバトル用にリリックやフレーズをネタ帳にバリバリ書き込んでいるし、何故ネタくさいラップを嫌うのでしょうか。

 

あくまでも個人的な意見ですが、ネタくさいラップを嫌う人達は即興でその場でバトルをしている2人が築き上げていく言葉の芸術性というものを求めているのではないでしょうか。

 

これが両者が予め仕込んでおいたネタばかりだと、相手へ返す言葉がトンチンカンだったり、的外れな事を言ったり、韻を踏む事ばかりに固執して何を言いたいか伝わらなかったり、そういう事を嫌う人達が「ネタくさい」とつぶやいてしまうのではないでしょうか。

 

まあ、一理ありますよね。

 

では、一流と呼ばれるMC達はどのようにネタくさいと言われずに仕込んだネタを上手く使っているのでしょうか。(勿論、本当に即興で言葉を考えてバトルをする化け物みたいなMCもいますが笑)

 

それは引き出しに様々な言葉を取り込んでおく事とそれをいかに早く探して取り出すか

 という事です。

 

MCバトルは基本的には1on1で8小節や16小節の1バースを3回交互にやって、それを審査員やオーディエンスが審査するという仕組みです。評価点は韻を踏む事やアンサーや相手への的を得たDIS、等々があります。ここら辺は説明しても分からないと思うので、YouTubeとかで色々と観てください。

 

youtu.be

 

youtu.be

 

やっぱりFORKかっこいいー。

越冬のFORKは神懸かってるー。

 

さてさて、話を少し戻します。

 

MCバトル等のフリースタイルとネタについて

 

先ほども言いましたが、引き出しに様々な言葉を取り込んでおく事といかに早く探して取り出すか。

 

例え話で説明します。

 

MCバトル=デート(恋愛もバトルですもんね笑)

言葉=洋服

対戦相手=天気

オーディエンス=彼女 とでもしましょうか。

 

皆さんが朝起きて出かける時に、何を着ていくか考えますよね?

 

例えば、前日の天気予報だと今日は雨。冷え込んだ1日となる予報。考え抜いたコーディネートはシャツにベストにジャケットを合わせたものだとします。

 

でも、朝起きると外はカンカン照りの真夏日

 

皆さんはどうしますか?

 

ここで洋服を全然持ってない人だと前日に決めたコーディネート以上に良いものが無いので、仕方なくそのまま暑苦しいジャケットで行きますね。

 

それを待ち合わせた彼女はどう思いますかね?汗だくでジャケット…。負けですね。

 

では、洋服を持っていた場合は・・・。

 

洋服がありすぎても何を選べばいいか悩んだり、タンスのどこにしまったか忘れてしまったり、気づいたらもう家を出なければいけない時間に・・・、結局はテキトーに選んだ服で出かけることに・・・。うーん、惜しい。

 

そう、大事なのはすぐに引き出しから天気に合わせた洋服を取り出して、コーディネートをバッチリ決める事です。

 

ここでTPOもキチンとしないとダメですよね。

 

いくら今日の天気が熱くなるからといって美術館デートに短パンアロハシャツにサンダルでは行きませんよね。

 

素早く天気に合わせてコーディネートを決めて、堂々と彼女とデート。勝ちですね。

 

洋服を持つ事も大切ですが、洋服をいかに上手く合わせるかも大切ですよね。

 

では、天気に合わせたコーディネートかつ彼女や他人受けするためには何をするでしょうか。それはやっぱり経験を積む事だと思います。毎日の天気に合わせて洋服を選んだり、他の人をお手本にしてみたり、そうやって経験を積み重ねて意識せずに洋服選びを出来るようになれれば良いですよね。

 

MCバトルも同じです。その時の天気(相手)に合わせて自分の持つ洋服(言葉)を自分の引き出しから素早く取り出し、どう上手く組み合わせて彼女(お客)を沸かせるかという事です。

 

ただ、ここで大切なものがもう一つ。

それが個人のスタイルです。

スタイルというのは体型ではなくセンスの事。

 

例えば、大学生あるあるで揶揄されるチノパンに青シャツコーディネートだと彼女も「周りと同じじゃん・・・」と幻滅してしまうかもしれません。

 

だから、自分なりのセンスをそこに盛り込んでいこうとしますよね。これが個性につながるわけです。

 

本当にセンスがある人は、少ない洋服でも飽きさせずオシャレに着こなしますよね。

 

MCバトルも同じです。0からのスタートだった日本のフリースタイルも先人の積み重ねてきた言葉やコーディネートが沢山あります。それらを自分なりにどういう自分オリジナルスタイルに落とし込むかが大切になってきました。これがいわゆるスタイルウォーズっていう今の時代です。

 

ここからどのように更に進化していくか気になりますね。ますます今後の日本のヒップホップシーンに注目したいです!

 

あと、ここからは少し愚痴になります。

 

よくヒップホップを聴き始めた人に対してにわかファンだとか何だとかいって古参ぶる人たちがいますが、本当にダサいと思います。好きなら好きでみんなで仲良く気持ちよく音を楽しめばいいと思います。ま、なんでそれも生まれるのかもまた改めて書きたいと思います。

 

バイバイ。