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日本のヒップホップシーンにおける地方勢の台頭

久しぶりに更新!

 

今回は日本のヒップホップシーンにおける地方勢の台頭とその流れについてざっくりと書きたいと思います。

 

一極集中からの脱却

なぜ、一極集中から脱却できたのか?それについて書いていきます。

 

本でヒップホップが産声をあげてから、ヒップホップシーンは常に東京中心の一極集中型でした。さんピン世代の全てが東京で活躍しており、東京以外では、横浜の関内や横須賀のごく一部のクラブでしかヒップホップは浸透していませんでした。ヒップホップをかけてくれるクラブは地方にもたしかにありましたが、そのようなクラブはごく少数でした。般若などは東京上京組の典型的な例です。東北出身ですが、RUMIと一緒に上京後から今現在も東京を代表するラッパーとして有名です。

 

んな中で、OZROSAURUSの「AREA AREA」やTOKONA-X名古屋弁のラップがヒットし、地方からでもヒップホップを発信できるという土台が出来上がりました。ここにTha Blue Herbを入れても良かったのですが、地方シーンの確立というところで地方色の強いアーティストを選びました。

 

youtu.be

約何年経ったろう

あの頃から企んでた

東京よりやや西

潮の吹く港から俺もやったろう

 

この曲によって、横浜エリアが全国区で瞬く間にして有名になりました。また、この曲が収録されているアルバム「Rollin’ 045」では、「045 BB」や「Rollin’ 045」という横浜を前面に押し出した曲により、地方でも発信することができるという希望を生んだと同時に、地元のファンを増やすことに大成功しました。

 

また、この曲はDJ PMXがプロデュースしたこともあり、当時の日本では浸透していなかったWEST COATを一躍有名にしました。この曲は 、OZROSAURUSと横浜エリアの確立のみならず、後の日本のヒップホップ業界内のガラパゴス化へとつながるウェッサイの確立までを果たしました。

 

youtu.be

バカヤロウたわけ
おみゃあら並べ
お前とお前とお前だ
気を付けして並べ
なにをそんな怒っとんのって
俺にもわからんで
怒っとんだってこと

 

TOKONA-Xが方言でラップをしたことにより、日本語ラップの幅は一段と広くなりました。リリックだけみてもコテコテの方言ですね。TOKONA-Xは自身の生い立ちを綴った曲「Where's my hood at?feat.MACCHO」では、生まれ育ちが横浜であることから始まり、常滑に引っ越してから今までを等身大の言葉で綴っています。同じ横浜出身のMACCHOの客演も輝いています。

 

本編とは関係ありませんが聞いてみてください。

youtu.be

 

これらにより、地方から自分たちの言葉でヒップホップを発信できるという土台ができ、東京出身を謳っていたアーティスト達も東京の渋谷や新宿出身と細分化していき、東京一極集中時代が徐々に終わりを迎えることになりました。

 

して、この流れをさらに加速させたのがインターネットの普及です。GAGLEが仙台から全国にネット配信した「雪ノ革命」による、地方にいながら全国のリスナーに届けるという形を成功させたことを筆頭に、キャスフィやニコ動などの大型サイトや音源の提供や掲示板でのMCバトルを主体とした小さなヒップホップサイトが活気づいていきました。これにより、自宅にいながら全国のMCやDJにトラックメイカーと繋がることができ、スキルアップや楽曲制作も格段に上になっていきました。

 

youtu.be

FROM仙台 ここにいながらにして
続けてく独自のスタイル
よく言われるよ 勝負しないか東京で
トップとSHOWしない 同じ土俵で
そこでSTOPするな来い その度量で
共に楽しもうぜ ALL DAY
有難いが まだ遊びたりないんだここで
ここに これだけかけてきたんだ
ダメ元で だから俺等は事は進めるよ
他でないここで FRIENDSと共にその元で

東北地方の土台のみならずネット上すらもヒップホップの土台として確立した瞬間でした。他のどこの地方のシーンにも似ていない独特の杜の都の雰囲気を出しています。 

 

年では、自分の地元をREPしてラップで繋いでいくDJ PMXの「4 MY CITY」「4 MY CITY Ⅱ」、NORIKIYOなどのremixが話題になったYOWTHの「地方B-BOY行進曲 第3章」、さんぴん世代から若手までが「◯◯(地元の県や地名)UP!」としてRemixが続々と出されたSHINGO☆西成の「大阪UP!」、などなど枚挙に暇がないほど様々な地方のシーンの台頭が賑わせています。

 

youtu.be

youtu.be

 

youtu.be

 

 

れにより、地方のクラブも賑わうようになり、結果としてわざわざ上京しなくても地元からコツコツと努力をしていけば全国区でも通用するようになる環境が整いました。

 

震災とヒップホップ

この地方の流れは、「AREA AREA」からインターネットの普及により、急速に浸透していったように書きましたが、実を言うと、3.11の影響もあると思います。 嫌いな人は読み飛ばして結構です。

 

3.11以降、津波の被害や福島の原発事故などで地元を失った方々も数少なくありません。そのような現実を目の当たりにした時に、「当たり前だと思っていた地元も当たり前ではない」ということに気づかされ、自分を育ててくれた地元というものをより大切にしようという流れが奥深くに流れはじめたのではないでしょうか。それが一時のRemixシリーズなどの地方色を強く出した作品にも表れています。

 

地方が強くなるとどうなるか?

一極集中と市場規模は変わらないが、地方に埋もれていた原石が活躍しやすくなります。そして、各地方による多様化細分化が進んでいき、各地方で特徴あるヒップホップ文化が生まれ、これにより日本のヒップホップのガラパゴス化が進んでいきます。札幌、仙台、東京、横浜、横須賀、相模原、名古屋、大阪、岡山、福岡、各都市を代表するラッパーが存在し、牽引することでもっともっと大きな化学反応が期待できます。

 

不良のコミュニティ範囲から考えても地方が強くなったことは、ヒップホップにとって大きな一歩です。なぜなら、中卒や高卒が未だに多いヒップホップシーンにおいては、地元の先輩や後輩との繋がりが強いというメリットと他の地域には全く知り合いがいないというデメリットが存在します。そして、地方のクラブハウスには大抵がこういう面々がいるわけですから、地元で成功すれば根強いファンを獲得することができ、自分の地位を盤石にしやすいわけです。

 

そこから全国区に羽ばたきつつ、地元も大切にする、というこの手法で着実に全国クラスへと化けていくのが現在のヒップホップシーンでの成功パターンの主流です。しかし、ここでの落とし穴が前回のブログにも書いた「メジャーvs.インディーズ」問題です。

 

メジャーデビュー肯定派

KREVAが武道館ライブを成功させた事例を見ても、メジャーならばファン数も稼ぐ金額も桁違いになります。つまり、成り上がることができるのです。誰だって金持ちになりたいし有名になりたい、日本でもZEEBRA宇多丸KREVAなどの成功者が現れ、実現可能な夢になりました。ヒップホップにおけるジャパニーズドリームというものが形になってきたということです。

メジャーデビュー否定派

これはヒップホップに限らずどのジャンルどのアーティストに共通する問題だと思います。より一般ウケするように当たり障りのない歌詞や売れるための路線変更も行う場合が多いです。昔からのファンはこれを嫌がりますよね。ヒップホップは特にこの傾向を嫌がります。なぜなら、ワル自慢をしていたのに恋愛について語られても鳥肌立ちますよね。ヒップホップという性質上、また先ほど①で申し上げたように固定観念に縛られているために、メジャーのために自分のスタイルを変えるということをファンは極度に嫌がります。なぜなら、固定観念という名の命綱だけで繋がっているからです。これは暴論かと思われるかもしれませんが、僕にとってはありのままを伝えただけです。

 

このように地方勢の台頭はメリットと同時に数多くの課題も抱えているのも事実です。また、誰にでも気軽に制作でき発表できるというのは、とても便利で誰にでもチャンスを与えた反面、デビューの低年齢化スキルの平均の低下も引き起こすことになりました。そして、インターネット上でのプロにも負けず劣らずのアマチュアが数多く出現したことにより、リスナーの求めるものの質も上がっていきました。

 

ますます激戦区になりつつある日本のヒップホップシーン。LIBROの再始動やキングギドラの結成20周年などのベテランの復活や各地方の若手MCの活躍など、まだまだ目が離せそうにないですね。